ニューヨーク近郊の会計士 仕事日記 15 ”会計事務所”と”監査法人”の違いは?

ニューヨーク近郊の会計士の日記

こんにちはー 駆け出しブロガー会計士、らーきいです。

現在USCPA監査人としてアメリカのニュージャージー州の会計事務所にて主に日系企業の監査、レビュー業務に携わっています。

皆さん、「監査法人」て言葉、聞いたことありますよね。もちろん「会計事務所」もあるかと思います。

さてー、この2つの単語って何が違うんでしょうか? 本日はちょっと基礎的かもしれませんがここらあたりの違いを説明していきましょう!

まず「監査法人」ですがこれは文字通り監査をするための組織ですね。監査といっても上場企業が受けなくてはいけない法定監査や日本では会社法上の大会社であれば受ける義務が生じる会社法監査、その他にも依頼者の求めに応じ行う任意監査、そしてこうした証明業務の中にも監査業務、レビュー業務、はたまた財務諸表を作成するだけであるコンピレーション業務などがいくつか種類があります。いずれにしてもこうした監査を代表とする「証明業務」を行うのが監査法人なのです。

上記で書いた法定監査や行わないと上場企業の場合、上場維持が即座にできなくなってしまいますし、会社法監査も行わずに無視して会計監査人を設置しなければ法令違反となり罰則の対象となってしまいます。そういった意味でその業務を執り行う監査法人の責任はとても重いのです。

さて、では「会計事務所」とは何か? 会計事務所は上記の証明業務を含むその他の会計にまつわる業務を行う会計専門の総合サービス企業ということになります。つまり監査法人が行う業務は「会計事務所」の仕事に含まれる、ということになりますね。

さて、会計全般をなんでも扱う「会計事務所」、一体どのような業務があるのか他のサービスラインをざーっとみて行きましょう!

税務

まず監査と並んで人員が多い業務は「税務」です。アメリカにおいては税金の計算は非常に複雑です。というのもアメリカ連邦政府が法人個人に課す連邦税の他に50ある州それぞれに税法があり(!)、ビジネスをしているそれぞれの州で税金の申告する必要があります。また毎年細かなルールは連邦税も各州も変えてくるためそれに対応するには高いリサーチ能力が求められます。税務の専門家は非常に法律(税法)に密接な職種であり、監査の専門家と比べると、会計士だけでなく弁護士の資格をもつプロフェッショナルも多いです。

通常の税務業務は証明業務と連携して法人税の仮計算を行ったり、IRS(米国歳入庁、日本で言う国税のような機関)に対して企業がリスクの高い税務計算をしていないかの分析を行ったり、また、顧客のためにタックスリターン(税務申告)を準備することが主な業務となりますが、タックスリターンにも個人用と法人用があり適用されるルールも違いますし、上記の通り50州各種でルールも異なります。そのため財務諸表においてはわずか数行を表記される税務ですが、その計算には非常に深淵な知識と技術が必要となります。

移転価格税務

税務に属する業務ですが、少し特殊なのが移転価格税務です。移転価格とは国家間の取引(輸出入や国をまたぐサービスのやり取り)においてその取引のために不当な納税になっていないか、もしくは国家間で取り交わされた租税条約などに違反がないかどうかを分析、対策、また法人税計算における調整を用意する業務です。通常の税務がその国の定めた税法に則った計算業務を行うのに対し移転価格は国際間取引の税務分析を担当する部署と言えるでしょう。会計業界的(そして個人的)には税務や監査など他の会計分野を経験した会計士の中でも特に頭のいい人がやっているイメージがあります。

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