アメリカで頼れる者は身内と親友だけだ、と思わせるアメリカ文化

文化比較

 

「え、ロックが外れない? 壊れたか?」

もう夜の7時過ぎ、近くのジャージーシティ(ニュージャージー州)のカフェで仕事をしている嫁に電話すると、自転車にかけたロックが外せず、帰宅するにもしばらく時間がかかりそうだということでした。彼女が自転車に使っているのはダイヤル式で自分でかけた番号さえ忘れなければ外れるタイプです。。

僕はオフィスからアパートメントに帰ってきたところでした。「そんなことあるのか、、、?」 と思いながら少し待ってみてもらちが明かないと思ったので僕もそのカフェまで行ってみることにしました。外の気温は15度以下と寒いので防寒し、15分の道のりを歩いていくと、かくして嫁はロック外しに真剣になっていました。自分でもやってみたのですがやはりどうやっても外れない。ロックはワイヤー式で強力なカッターや大ばさみがあれば切断可能です。近くに消防署があるので切断器具がないかどうか嫁が行ってみるものので消防署には誰も詰めていなかった、という「消防署っていつもこうなのか??」と思ってしまいました。

その後自転車の駐車しているすぐ前のレストランで食事し(2人ともお腹が空いていた)、ロードサービスに電話することにしました。AAA(トリプルA)と呼ばれている日本で言えばJAFのようなサービスです。車やバイクだけでなく自転車にもサービスが適用できるという事でこれはもう頼むしかないな、と思いました。その電話がまた大変なのです。

まず通常トリプルAは自動車などエンジンの付いた乗り物に対応したサービスだから今回は自転車のロック切断ということで、最初のサービス窓口から別の部署につないでもらい、そこから折り返しをしてもらうということで一度通話が終わり、改めて電話が来たのですが、トリプルAの内部できちんと話が伝わっておらず、またこちらの状況を最初から説明する。そうしたら今度は「自転車はサービス外です」というような対応がはじまり、サービス対象であるはずなのでそちらの上司と確認してみてください、というようなやり取りをする必要がありました。一度電話が切れ、また折り返すということで少し待つとまた電話があり、「やっぱりサービス対象に入ります、すみません」といった具合です。どうも自分達のサービスをちゃんと理解していないらしいのです。

その後は駐車場所と、よくあるレッカー回収案件ではなくチャリンコのロックを切って欲しいだけなので切断器具を忘れないでください、など基本事項を伝えると、1時間以内にはサービストラックが駐輪場所であるこちらにくる旨、確認できました。

アメリカなので1時間以内と言われても本当に来るかは謎です、普通に3時間かかっても全く不思議ではありません。しかし都市部に位置する場所ではあったのでそれほど時間はかからないのではないか、、、と思っていたのですが確かに40分くらいで到着しました。

レッカー用にトラックに2名のAAA職員、しかし驚くべきことは

「なんだいこのロック、俺達ワイヤーカッターは持っていないぜ?」

一体あんたら何をサービスセンターから聞いて、何しに来たの??? 

そのまま自転車とロックをしげしげと眺める二人。しかし二人は何もできずそのまま「ソーリー、またサービス対応へ連絡してみてくれ、俺達にできることはない」と言って帰ってしまいました。全くその名前とは違いやっているサービスはちっともトリプルAレベルではないです。

この時点で夜の10時、気温は肌寒くちょっとした繁華街とはいえだんだん人通りに女性はいなくなります。サドルだけ回収してとりあえず後でまた回収にこようか、とか、もう一度AAAに最初から電話するとか考えた結果、一度家に帰り切断器具があればそれで今夜のうちにチェーンを切って自転車を回収するという結論になりました。

徒歩15分の道のり家に帰って工具を確認しに行きます。中型のニッパーとノコギリ型のメタルカッターが工具箱にあったのでそれでワイヤーを切断しに行くことにしました。

現場に戻り夜の10時半から質素なメタルカッターでワイヤーの切断作業をします、その間は柄の悪そうないろいろな人が通り過ぎるのですがちょっと驚いたのは声をかけてくる人もいなければ、警察も呼ばれるそぶりもありません。あからさまにチャリンコの窃盗犯に見える構図だったにも関わらず、です。作業のほとんどは僕が行っていたんですが、というもの嫁はダブルロックにしていたもう一つのロックのカギを家に忘れてきたので取りに行ってもらっていたのだ。彼女が再度家に帰って戻ってくる約30分、ワイヤーの切断は問題なく進み、無事チャリンコの回収は達成された。ひたすらカッターをこすり続けた30分でした。

次ページは:この経験を通じてある意味確信した「お金になる」こと

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