ニューヨーク近郊の会計士 仕事日記 21 ボストンキャリアフォーラム 2023 中堅会計事務所での採用側の所感 #2

アメリカで就労するためのビザについて

 

こんにちはー 駆け出しブロガー会計士、らーきいです!

僕はBIG4での監査経験を経て現在USCPA監査人としてアメリカのニュージャージー州の会計事務所にて主に日系企業の監査、レビュー業務に携わっています。

さてこの記事は前回のボスキャリ参加記事の続きになります。

ボストンキャリアフォーラムに来る前の事前準備

採用側ももちろんボスキャリ会場に来る前に相応の準備はしています。今回は事前に候補者の方々からもらっているレジュメも120通を超えており、その中から必須条件を絞った方には事前に面接の招待を出すわけですが、一般的にはそれらの方を対象に事前電話を実施し、こちらのファームについて業務や雰囲気などをもっと知っていただくような施策をしたり、オンライン等で事前面接している企業は多いのではないかと思います。実際に会場での面接は非常に忙しいものであり特に初日は流れ作業に近い感じで次から次への面接になってしまうのでなかなかゆっくり話もできません。採用とは多かれ少なかれ恋愛のような要素があり、採用側と候補者、互いが魅かれ合わないとなかなかマッチしづらいものです。そのための互いのアピールやよく知り合うためにそうした事前電話などははとても有効でしょう。

僕のファームのボスキャリ当日の流れとしては初日は面接でごった返し、二日目は面接も減りヒマになるので夕方前には”もいっか、帰りましょう!”という感じで撤収となります。そこまでのタイミングでいい候補者達といいコミュニケーションをしようとしていますんでかなり密度の濃い時間になりますね。そのためにもボスキャリ当日前の事前準備は採用側も必須行動となりそうです。

会場での面接で面接官は特に何をみているのか?

何を見ているか、何と言っても実際に会う事でしたわからないこと、雰囲気や人がらなど見ています。面接候補者として選ばれる時点で候補者としての必須項目、つまり会計の素養や学歴、職歴、ビザの状況などはすでに確認していますので会場でまみえる時点においては”この方と一緒に働きたいかどうか””この方の性格や考えはウチのファームと合うかどうか”などを質問や会話、雑談などから聞き出そうとしている、ということですね。このあたりのことは少々の時間ではなかなかわからない事でもあり、後述するディナーや朝食会などでも、時間を使って理解しようとしています。

Big4を意識した動き

 

僕のファームは現在180名程度のプロフェッショナルが在籍している事務所で、小規模ではないのですが大規模とも言えない微妙なサイズです。年々会社が拡大しているのでその中で働くのはとても働き甲斐があります。自分と一緒に会社も成長している感がありますね(笑)。そんな訳で同業者としてBIG4の動きはやはり気になります。そもそも僕ら中堅ファームとしては彼ら大手が同じ候補者に採用を出せばまずウチにこないだろう、というのは誰しも理解していることです。なので候補者達からはBIG4の活動進捗もできる範囲できちんと教えていただき、オファーの出し方もBIGからの動きをきちんと意識しつつ出していきます。それを踏まえてもこちらからのオファーの受諾率はこうした大型イベントにおいてはあまり高くはなりません。

重要イベント:ディナーと朝食会

これは会計事務所に限らず学生たちの人柄や本気度を確認する意味合いでいろいろなボスキャリ出店企業が実施しているでしょう。金曜、土曜の夜は多くの企業が学生にディナーへの招待を出して一緒に食事をするのです。たったの2日、2回の機会しかないので一応これで学生がその企業に対してどれだけ本気なのかを図る指標になります。当然ですが、弊所がいいと思った学生は大体BIG4などライバルからも誘いを受けているのでなかなか来てくれません(誘ったけど来てくれない、ということは大体オファーレターを出してもバッティングする可能性が高いので難しくなってくる、という感じでしょうか)。

ディナーに来ていただけると比較的ゆっくり話ができるので候補者の人柄も理解がより進みますので非常に大事なイベントです。ウチのファームはディナーは金曜日の1回だけとなっていますので、オファーレターの準備はまずこのディナーに来てくれた方々は重要な一角となります。またディナーに来れなかった方には翌日の土曜に朝食会(といっても一緒にベーグルとコーヒーを食べる程度)をしてやはり交流の機会を図っています。

BFCが終わったあとの採用について

フォーラムが終わったあとも採用活動自体は続いています。土曜までに集まった候補者達とその情報を各採用面接官たちが共有して話合い、誰にオファーレターを出すか決めていきます。僕のファームは採用事務所がいくつかの州にまたがりますし、監査と税務のサービスラインがそれぞれ採用をしますので全部で一度には10名程度でしょうか。僕のいるニュージャージーオフィスの監査部では年にもよりますが2名から3名程度をスタッフかインターンとして採用を目指すことが多いです。まずは各情報を総合的に考慮の上、キャリアフォーラム中や直後には口頭でのオファーを出していきます。諸々の理由から期間までに候補者に受諾されない場合は別の方に順次新たなオファーを出し、様子を見ていくこととなります。もちろん当初の候補者達から十分な採用ができないこともあります。そうなるともう一度ボスキャリサイトからいただいた応募レジュメなどを見直し、オンライン面接の連絡を出したり、再面接を依頼したりしますので、採用活動は長く続くこともあるのです。

全体的な所感

今回のボスキャリを通して思ったことですが、結構いい仕事を日本でしていてもアメリカへ出てきたいというような人が散見されたことが印象的でした。日本で大手会計ファームで就労を積んでいたり、税理士として何年も活躍するなど見事なキャリアを積んでいる方、大手金融機関でお勤めの方が、一度その職を辞めたり、求職したりしてアメリカでMBAなどの就学をし直し、現地で就職をしようという方がよく見られました。彼らから直接的にも間接的にも伺い知ることができたのですが、もう日本で稼いでいくこと自体がそれほど見事なキャリアがあってもしんどいと感じているようです。ライフワークバランスの問題もあるでしょうし、日本経済の構造的な問題なのかもしれませんがもう賃金の伸び悩みは行き詰まりを見せているということとも言えそうです。そういった方々が達成する年収800万や900万くらいというものもアメリカの会計業界でいえば現在のドル円レート($1=150円)を適用する限り新卒の初任給$60,000程度とそれほど変わりません。さらにそういった給料はプロフェッショナルファームと呼ばれる職場では年次と昇進を重ねるごとに毎年$5,000から$10,000のペースで上がっていきます。もっと言えば日本の労働環境に比べればやはりアメリカの職場はストレスは低めかもしれません(僕は今のファームに勤めて基本一日7時間はバッチリ寝てます)。この事実は日本の高度技術を持つビジネスマンにとってはとても羨ましいものに映るかもしれませんが、アメリカではもっともその分突然解雇される可能性もあるのでその点でトレードオフといえそうです。そして同時にアメリカは物価も高く、住居費、外食費、養育費などは日本と比べれば目玉が飛び出るほど高いので生活は一概に楽というわけではないのですけれどもね(アメリカじゃダンナか嫁のどっちかが1,500万円稼いでいても都市部なら子供2人それなりのまともな学校に行かすのはかなりしんどいですよ)。

年齢はアメリカ就労の壁になるか?

上記のような状況からボスキャリでは新卒からは離れた、30代から40代くらいかもしれない求職者もお見受けしました。アメリカでは就職の年齢差別を明確に違法とする法体制になっています。なのでレジュメにも年齢を書く欄はありません。そうした候補者は外見と職歴、学歴などで年齢を推し量られることになります。年齢差別はしない、という建前ではありますが僕が求職をした経験上、もちろん面接で年齢は全く関係ないと言えばそんなことはないと感じます。よくすでに熟練の知識やピカピカの学歴がある場合Overqualifiedという言い方が使われます。そうした候補者達について「それほど経験のある人をどのレベルで雇うのか」「柔軟に対応してもらえるのか」「部下として雇って使いにくくはないか」など様々な考慮と、職場での需要を考えた上で決定されますが、あくまで一般論としてスタッフレベルの仕事をしてもらう人を雇いたい場合はやはりテキパキ素直に動いてくれる新卒の若者の方が雇いやすいという傾向が明確にあるのかな、という印象はあると思います。

、、、、一つの対策ですが、年齢が気になる方は年齢がバレにくい職歴の書き方と、外見がなるべく若く見えるような日々の工夫というのは面接においては有効ではないかと思います。アメリカでは年齢を聞かれることはまずない、というのは事実です。僕自身アメリカで求職・成功した時はすでに32歳でしたが多分見た感じは余裕で20代だった(と思っています、その当時ね)気がします。当時、採用側のマネージャーのお姉さま方へのウケが多少よかったようで”学生や20代のうちに女性の扱いや、可愛がれる術は磨いておいて本当によかった、、、”という感慨がとまりませんでしたw 悲しいかなボスキャリのような日系イベント(広義にはどこで求職してもですが)では”年齢”は誰もまず口にはしませんが一つの障壁にはなり得ると思います。ですがコミュニケーションその他の能力でリカバー可能だとも思います。

将来のボスキャリ参加者たちへのアドバイス

こうしたキャリアフォーラムなどの大型イベントには早めにとにかく申し込むのが吉です。レジュメを送るのが遅くなり、イベント直近になればなるほど忙しすぎて企業側の事前対応ができなくなってきます。本当に行きたい会社があるのであれば遅くとも2週間前までにはレジュメを送り(大手企業であればもっと早い方がいいでしょう)、事前の電話面接などの機会を得るようにしましょう。ボスキャリ当日のポイントは担当者と懇意になること、さらに控える採用決定権を持つ者にいい印象を与えることに他なりません。採用活動など所詮は人間の所業、そして好き嫌いで決まる要素が多分にあるのです。この辺を抑えれば総合的な面接合格確率は各段に上がるはずですよ。

今はボスキャリに限らずそれなりの規模の会計事務所であればどのタイミングでもインターンやスタッフの採用はしているのではないでしょうか。彼らの採用や採用基準などについては前回記事 仕事日記17を是非ご覧ください。

こちらのブログ主はアメリカの会計業会に興味のある方や、アメリカで働きたい方へボランティアで相談に乗っています! 興味のある方はコメント欄やツイッター・X(@Larkey_Larkey)からご連絡ください!

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